変わらないことなんて無い。

小学校中学年から高学年にかけて、友達に会いに行くやら習い事やらで良く通った道がありまして、その道の途中に、築20年は経っていそうで、それでいてほとんど舗装もしていなさそうな一軒家がありました。
その家の玄関前には大きな犬小屋があって、一匹の大型犬が飼われておりました。犬について僕は無知なので、犬種とかは全然分かりません。敢えて言うなら、狼に似た感じでしょうか。
その犬はあまり動くこともなく、小屋の前で気だるそうに座っていたものです。はじめてみたのは小4のときだったでしょうか。その時からすでに結構な年だったと思います。その道をチャリで通り過ぎたとき、なんとなくチラッと犬の様子を見るのが当たり前になっていました。まぁ、気だるそうな感じはほぼ決まっていたんですが。たまに目が会ったりすると、その場でチャリを数秒止めたりもしました。
習い事をやめ、引越しをして、中学校に上がる頃には、その道もあまり通らなくなっていました。
時は過ぎ、高校の何年だったか、久しぶりにその道を通ることになったんですが、その犬はまだいました。相変わらず気だるそうにたたずんでいました。ちょっとホッとしました。
また時は過ぎ、大学に上がった今、母から買い物を頼まれてその道を通ることになりました。小屋は無くなっていました。
特に付き合いがあったわけではないですけど、その犬を見てから8年。僕の小中高大を跨いでいました。ずっと変わらずに。気だるそうに。


かつて小屋のあった場所をチラッと見て一言、「お疲れ様」とつぶやいて、買い物に向かいました。